湿布

深夜、携帯をいじっていたら、電池が切れてしまった。まあこんな時間に電話もかかってこないだろうし、放っておく。
作業が終わってさて帰ろうとすると、やばい、携帯を使えないとタクシーが呼べない。守衛さんもいないし。旅館まで歩いて帰る?
困っていると、工場に公衆電話を見つけて、無事タクシーを呼べた。「小銭がない」というオチじゃなくてよかった。
帰ってしばらくして旅館の朝食を食べて寝ていると、腰が痛い。きっと背もたれのないパイプ椅子で長時間作業していたせいかな。
湿布を買いに外に出る。コンビニには置いて無かったので、名古屋駅周辺でドラッグストアを探していると、急に見覚えのある通りで、もうすっかり忘れていたと思っていたことを思い出した。
あの時、名古屋から横浜へ転勤して、それからいろんな事があって。いろんな事が変わってしまったけど、変わらない部分もあって。
一時期、名古屋には近寄るのも嫌だという時もあったけど、今ならちゃんと向き合える。それは単に時間のおかげか、それとも自分の何かが変わったのか。
人は何か辛いことに直面して、それを乗り越えてこそ成長するのかもしれない。