アロッタファジャイナ第6回公演『錆びた少女』@ザムザ阿佐谷

始めてみる劇団。観劇前のスタッフの対応ミスや雨の中で待たされて、ちょっと不快にさせられる。
自由席なので、最前列に座る。木製の座席で、始まる前から既にお尻が痛い。舞台のセットは白い紙で包まれた椅子がと車椅子。それと巨大なラジオ。なんだか現代アートの作品みたいだ。
演劇が始まると、出演者との距離の近さにちょっとたじろぐ。これまでも最前列での観劇はいくつかあるけど、今回はステージといっても段差もなく、客席との仕切りがあるわけではないので、本当に目の前で演技している。演劇でしか味わえないライブ感は抜群。
特に主演のリンネ役広澤葵さんとメイ役の安川裕香さんが熱演。細かい表情の変化やまつげの動き、涙が頬を伝う瞬間まで見て取れる。
パッヘルベルのカノンをテーマ曲のように使うのはすでに偉大な作品郡があるので、あまり新鮮味はなく。
惜しむらくは脚本。これはどうにかならなかったのだろうか。プロットはいいのだけど、時間に追われて慌てて書上げたのが見え見えで、完成品と呼べるものにはまるで程遠い状態。これは本当にやりたいことの何%ぐらいなんだろう?少なくとも、もう少し落ち着いて話を整理するか、もしくはまとめ直す余裕はなかったのか。演出部分はまだしも、脚本に対するこだわりや愛が感じられず。これでは熱演した出演者が可哀想。というか失礼ではないか。
もちろん、ほぼ完成品といえる脚本を短時間で一気に書き上げる作家さんもいるのだけど、この作品を観るかぎりではそういうタイプではないかと。
次にこの劇団の作品を観る機会があるなら、余裕を持った作品造りを望みたい。今回は「役者さんの熱演を間近で観る」が全てという観劇だった。